札幌市西区に造成された住宅地。その一角に立つO邸は2020年3月に完成したばかり。タイル張りのシャープな外観が目を引きます。
Oさんご夫妻が家づくりを意識されるようになったのは、最初のお子さんが生まれた7年ほど前のこと。当時はご主人の転勤で旭川に住んでいましたが、将来は出身地の札幌に戻ることを想定し、札幌での土地探しを始められました。「長男が小学校に上がる前に引っ越したいと考えていました。なかなか思うような土地が見つからなかったのですが、2018年にこの住宅地のことを知りました。新しくできた住宅地なので息子と同世代のお子さんが多いこと、公共交通機関の駅が徒歩圏にあることなど、理想にぴったりでした」と奥様。条件に合う南向きの土地を当社が持っていたことや、当社の長年にわたる実績から、家づくりのご依頼をいただきました。
プランニングは奥様が温めていたアイデアを生かしながら進めました。特に重視したのが「生活感を出さない」こと。家具をなるべく置かず、収納を随所に設けることで、空間がすっきり見えるようにしました。また、ご主人の「暖かい家に」というオーダーには、床暖房とトリプルガラスの窓で対応。リビングの吹き抜けにはシーリングファンを設置し、1年を通して室内の温度差を解消できるようにしました。「工事のギリギリまで修正をお願いしました」と奥様が振り返るように、コンセントの位置に至るまで理想を追求されました。
完成したO邸は、奥様のイメージ通り家具がほとんどなく、モダンな佇まいに。自慢はキッチンの背面に設けた大型収納。生活感を見せないために、電化製品や食器、ストック用の食材など、キッチン周りで使うものを引き戸の中に収められるようにしました。また、ダイニングスペースは、リビングから見えにくい配置にして、家族の食事時間がばらばらだったり、来客があったときでも、落ち着いて食事ができるようにしました。
リビングにもものを置かず、育ち盛りのお子さんたちのプレイスペースとして十分な広さの空間に。「外に出られない日でも、家の中で思いきり遊ぶことができるので、子どもたちは大喜び。親としても子どもに我慢をさせなくてすむので満足しています」と奥様は笑います。
洗練された空間づくりを目指す一方で、家事のしやすさや生活動線にも配慮しました。キッチンに隣接する洗濯室は洗面スペースと分けたことで家事に集中することができ、干した洗濯物が人目につくこともありません。また、玄関のシューズクロゼットは、靴を履かずにホール側からもアクセスできるように、上り口をクロゼットの内部まで延ばしました。こうして細部にまでこだわることで、美しくスタイリッシュでありながら、実用性も備えた生活空間を実現しました。
「明るい家と温かいご飯で、いつまでも家族が『帰りたい』と思える場所に」と奥様。O邸は家族を優しく包み込むぬくもりにあふれていました。